市川海老蔵 第三回 自主公演 ABKAI 2015 市川海老蔵 第三回 自主公演 ABKAI 2015

市川海老蔵がはなさかじいさんに続き、
桃太郎と浦島太郎をベースにした新作歌舞伎に挑みます。

一、新作歌舞伎「竜宮物語」

 昔むかしの物語。ある日、空から大きな星が降って来ました。その様子を見て多くの者が驚く中、星は海の中に落ちて粉々に砕け散りました。
 星が落ちた海の中には、乙姫が住む竜宮城がありましたが、竜宮はかつてとはうって変った荒れ果てた有様。実は、竜宮城の繁栄は、人間の男がもたらしていたのでした。竜宮城で乙姫と暮らす男が病となり、竜宮は衰微の一途を辿っていました。その上、海に落ちた星のかけらの不思議な力のため、竜宮城は崩れ始めているのでした。
 竜宮城の惨状を憂うる乙姫は、家臣の亀たちに向かい、新たに人間の男を探して来るように命じます。その言葉に従った亀たちは浜へと向かいます。そこで見つけたのは、病床に伏せる母のため、薬となる海藻を探していた浦島太郎。亀たちは浦島太郎を竜宮城へと連れ去るのですが……。

二、新作歌舞伎「桃太郎鬼ヶ島外伝」

 これも昔むかしのこと、鬼たちが住む島がありました。鬼ヶ島とよばれるその島に住む鬼たちは人々に嫌われ、彼らを退治しようとする桃太郎という名の勇者が幾人も現れました。しかし、いずれも桃太郎の名を騙る偽者でした。それ故、鬼たちは誠の桃太郎がいつ現れるのかと不安を募らせているのでした。
ーさらに遡ることある日のこと、大きな星が空から降って来ました。その星は海へと落ち、粉々に砕けて水底へと沈みましたが、そのひとつのかけらを、鬼の仲間が拾い上げました。その星のかけらは、鬼たちに無限の力を与え、また、鬼ヶ島に繁栄をもたらし、鬼たちは星のかけらを「鬼石」と呼んで崇め奉るのでした。鬼たちの守り神として尊ばれるようになった「鬼石」。ある日、その鬼石から鬼の赤子の泣き声が聞こえ……。